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日本先端医療ニュース

〈アクセスがよく患者の評判が高い病院〉低侵襲手術数、日本全国の1割をこなす

2016-04-18 11:54

日本低侵襲脊椎外科学会(JASMISS)会長
岩井整形外科内科病院 院長
高野裕一 先生

東京都江戸川区にある岩井整形外科内科病院は、整形外科、内科、リハビリテーション科を中心に、慢性腰痛や頸椎の疾患を、痛みの原因に合わせた診断、治療、手術を幅広く行っている。高齢化に伴って、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、あるいは骨粗鬆症による圧迫骨折、すべり症など痛みに苦しむ患者は非常に多い。その中で、椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症をはじめとする腰痛治療に、切開が小さく、高齢者の身体にも負担の少ない内視鏡下低侵襲手術を実施、治療実績は年間1300件以上、全国の約10%の症例を手掛けている。
 高野裕一院長は、内視鏡下低侵襲手術の技術では名医と言われ、2016年からは日本低侵襲脊椎外科学会(JASMISS)の会長を務めている。
岩井整形外科内科病院は評判も高く全国から患者が訪れるので、2015年にはアクセスのよい東京品川に同じ岩井医療財団による稲波脊椎・関節病院を新設した。

高齢者に優しい内視鏡手術を提供

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●患者に合わせて術式を選択できる

―― 貴院の誇れる特徴について教えていただけますか?

高野 当院は、もともとこの江戸川区という地域では二次救急機関(地域の病院がグループをつくり、輪番制で休日、夜間に重症救急患者を受け入れて入院・治療を行う)という業務もありますが、特にここ数年力を入れているのは、脊椎外科です。
脊椎外科というのは、首から背中、あるいは腰にかけての部分ですね。そういう脊椎部分では、ヘルニア、狭窄症、あるいは骨粗鬆症による圧迫骨折、あとすべり症とか、高齢化に伴っていろいろ症例数が増えております。そういう患者さんが増えている中で、特に高齢者の方に優しい手術を提供できないかということで、低侵襲化を目指しました。
切開が小さく身体に負担の少ないのが低侵襲手術です。その1つの手段として、内視鏡支援、外科でいえば腹腔鏡とかですね。その内視鏡支援というものを脊椎外科の手術に応用して、それに特化してやっています。最近の日本整形外科学会の調査では、全国で内視鏡とか低侵襲の手術が約1万1000件か2000件以上行われているのですが、そのうちの大体1割ぐらい1200~1300件の手術を当院でやっています。
そういう実績があるためか、受診される患者さんが多くなり、昨年7月には品川区のほうにもう1つ、岩井医療財団として、稲波脊椎・関節病院という病院を立ち上げました。ここと同じ60床の病院です。品川は患者さんのアクセスにもいい立地だと思います。それが2つ目の病院になりますが、その2つの病院で岩井医療財団として手術を行うということになります。

―― 先生がこころがけていること、得意な手術方法などを教えていただけますか?

高野 内視鏡支援にもいろいろな手術があります。それを試行錯誤して結果を出して、論文に発表して、講演をする。単純といえば単純ですけど、そういう1つのことを継続することが一番信頼にもつながります。
専門分野で得意としているのは、今の内視鏡の支援による各種除圧術です。ヘルニアを取ったり、あるいは狭窄を取って神経をゆったりさせる。また、内視鏡を使ってグラグラした骨を固定するという手術ですね。それもいろいろ患者さんに合わせて術式を選択できるということですね。
さらに、いろいろな合併症が必ずしもないとは言えませんから、できるだけ低侵襲で対処できるような、合併症に対する手技も築くというか、それを内視鏡で行うよう、日々努力しています。

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●副院長は中国での医療経験者

―― 先生は、中国との医学交流はありますか?

高野 私は日本低侵襲脊椎外科学会(Japanese Society of Minimally Invasive Spine Surgery。JASMISS)の会長をしていますが、それの学術集会が今年の11月にあります。これは、もともとASMISSというのが国際学会としてあったんですけど、当初からアジアに注目しておりまして、それが名前を変えてPASMISS(Pacific Asian Society of Minimally Invasive Spine Surgery。太平洋・アジア低侵襲脊椎外科学会)になったんです。そういうふうに日本と中国と韓国、台湾、あるいはインドネシアを中心に、そういった低侵襲の治療を目指した方が集まって、1つの学術的な学会があるんです。
中国にも恐らくあります。ただ、それをまとめるものとして、PASMISSというものがあります。2017年のPASMISSが日本の札幌で大阪市立大学の中村(博亮)教授が主催されます。第20回のJASMISSとの合同開催になります。今、ヨーロッパもアメリカもありますけど、アジアの人たちとそういう議論する場もあり、2015年は韓国、2014年が北京、2016年はインドネシアで予定されています。それが1つの学会としての医学交流です。

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―― 中国からの患者の受け入れは可能ですか?

高野 それはもちろん可能です。現実に、もうかなりの数の手術を受け入れております。通訳を呼ぶこともありますが、なかには日本在住の娘さんが通訳してスムーズに手術を行ったこともありました。
もう1つ、大きな特徴は、当院の古閑(比佐志)副院長が、一時、中国で病院の立ち上げに行かれて、2年間向こうにいらしたんですよ。脊椎外科医としてですね、場所は福建省の厦門です。こちらに戻ってこられた今、副院長をされています。それで中国の医療も知っていますので、中国の医療事情も教えてもらえます。
古閑副院長は言葉もお上手です。そういった意味で、中国との懸け橋としては強力なメンバーです。ですから、説明や何かで少し深い話ってありますよね。そういうときは非常に助かっております。
あと、ご質問にあったPET検診のことですが、実はここの病院の隣に検診センターがあり、PET‐CTがあるんです。ご存知のように、PET検査では、がん細胞だけにはっきりとした目印をつけることが可能ですから、がんの早期発見に威力を発揮します。またPET‐CT 検査では一度に全身を調べることができますから予想外のがんの発見にもつながりますし、術後の転移や再発を調べるのにすぐれています。
当院ではMRI、PET‐CT、各種機器を備えており、かなりフットワークが軽い方ですので、事前に言っていただければ、まとめて集団診療ということも可能です。厳密なシステムはまだつくってはおりませんが、つくろうと思えばいつでもできます。

『人民日報海外版日本月刊』より転載