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日本先端医療ニュース

〈頼れる病院ランキングで日本一〉日本でも有数の消化器病センター

2016-04-18 11:00

横浜市立大学附属市民総合医療センター・副病院長
同 消化器病センター部長(教授)
國崎主税 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センターは横浜市立大学附属の大学病院である。病院の設立は大学よりも古く1871年にさかのぼり、古い歴史と伝統を誇っている。週刊ダイヤモンドの「頼れる病院ランキング」で全国1位に輝いたことが2度ある。2000年には新病棟の完成と、より専門性の高い高度な医療を提供するために名称を改め「市大センター病院」として再スタートした。
中でも消化器病センターは最先端の医療を提供し、神奈川県下のみならず日本でも有数である。臓器別の専門的・先進的診療体制を導入し、幅広い消化器疾患に質の高い医療を提供している。
國崎主税先生が部長を務める消化器外科では、早期の消化器がん(食道がん、胃がん、大腸がん)に対しては患者のQOL(生活の質)を重視した腹腔鏡下手術を積極的に導入し、さらに進行度に応じたテーラーメイド治療を行い、がんの根治性と同時に機能温存も重視している。
 國崎先生は、最新の腹腔鏡下手術から郭清手術まで幅広く行える。胃がん治療では全国2位の評価を得たこともある。

ポートの数を減らした手術で患者も喜ぶ

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●消化器病の専門家集団を擁する

―― まず、貴院と消化器病センターの特長をお聞かせいただけますか。

國崎 まず、横浜市立大学附属市民総合医療センターは2000年1月に横浜市立大学附属浦舟病院を母体とし、より専門性の高い高度な医療を市民の皆様に提供するために設立された総合医療センターです。
その中で、私が所属する消化器病センターは、最先端の知識・技術と人間性を兼ね備えた消化器外科医と消化器内科医の専門家集団です。現時点では総勢28名のスタッフと常時10数名の臨床研修医を擁し、神奈川県下のみならず日本でも有数の消化器病センターであると自負しています。
消化器がん(食道がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、胆道がん、大腸がん)をはじめ、上部消化管疾患、下部消化管疾患、肝胆膵疾患を幅広く治療しています。当センターでは臓器別の専門的・先進的診療体制を導入・構築しており、患者に質の高い医療を提供できるようにしています。また、各学会の指導医、専門医、認定医、技術認定医など多数在籍し、国内のみならず、欧米の医療を熟知し、皆様に提供できるよう研鑽しています。
さらに特長といえるのは、消化器疾患全般(上部消化管・下部消化管・肝胆膵)にわたり、消化器内科・外科が一体となりお互いに綿密な連絡・連携体制をとり、病状に応じた治療法を適切に判断し、最適な治療を迅速に行っているということです。それぞれの分野において専門医を揃え、最先端の診断治療を提供できるように努力しています。
消化器内科では、肝炎・肝硬変・肝がんなどの肝疾患や膵炎・膵がんなどの膵疾患などに対する内科的治療を積極的に行い、早期食道がん・胃がんの内視鏡診断・治療を最新鋭の機種を揃えて行っています。
消化器外科では、早期の消化器がん(食道がん、胃がん大腸がん)に対してはQOL(生活の質)を重視した腹腔鏡下手術を積極的に導入し、さらに進行度に応じたテーラーメイド治療を行い、がんの根治性と同時に機能温存も重視した質の高い外科治療を行っています。さらに、胆嚢炎・虫垂炎・憩室炎などの急性炎症性疾患に対する治療も行っています。

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●リデュースポートサージャリーでは日本一

―― 先生のご専門である消化器外科の先端医療についてお教えいただけますか。

國崎 消化器外科では腹腔鏡外科手術に特化して、かなり先進的な治療をしています。症例数としてはかなり多いほうだとは思います。例えば普通「ポート」といって、道具を入れる場所は大体5カ所ぐらい、胃でも大腸でも大体同じぐらいの数なのですけど、それを1カ所にしてみたり、2カ所でやってみたりという審美的な部分で患者に非常に喜ばれるような手術をしています。
ただ、ポートを少なくすると、本当にちゃんとがんの手術できているの? という疑問が当然出てくるのですが、決して質は落としません。そういうことをコンセプトに、かなりの症例数を積んでいて、多分上部消化管――胃に関しては、いわゆる「リデュースポートサージャリー」(ポートの数を減らした手術)の数は日本一に近いのではないでしょうか。大腸がんでもかなり多い。
それらの取組み結果を、内外の学会や論文で積極的に発表しています。

―― 長く外科医としてやってこられて、先生の得意とされるところを教えていただけますか。

國崎 胃がんが私の専門なのですが、縮小手術から拡大手術まで幅広くできることでしょうか。腹腔鏡手術が広く行われるようになってきたのは、本当に最近です。我々が腹腔鏡の手術に取り組んだのは2000年ぐらいからで、施設としては早いほうだと思います。ただ、それ以前は特に拡大郭清。ちょっと時間はかかりますが、進行度「4」の症例を「大動脈周囲リンパ節郭清術」で積極的にやっていました。
2004年には『日経メディカル』で、総合的な胃がん治療で全国2位の評価を受けました。当時の1位は、今の「がん研有明病院」(江東区有明)です。それは我々のある意味自負でもありますね。
結局、郭清術は進行がんに対してやる治療です。それを相当数一生懸命やっていた。そのうち、早期がんを対象にした低侵襲の腹腔鏡下手術、要するに縮小手術が出てきました。そういったことから縮小手術から普通の手術、あるいは拡大手術まで、がんの進行度に応じた適切な治療をもう何でもできます、そういうことができなければいけないというつもりでやってきましたね。

●患者に質の高い医療の提供を

―― 中国との医学交流はございますか?

國崎 3年前に中国で内視鏡外科手術を推進している学会で講演をしました。上海に何回か行きましたし、広州では学会の特別顧問しています。来年は国際胃がん学会が北京でありますね。
中国からの患者は、個人としては受け入れますが、公的な病院なので、いわゆるツアーみたいな形ではやっていないです。ただし、当院は、国際医療通訳の認定もらっているので中国語対応もできます。

―― 先生の今後の夢をお聞かせください。

國崎 患者に質の高い医療を提供していくためにも、若い医師を育てていくことが、私たち世代にとって一番大事なことだと思っています。

『人民日報海外版日本月刊』より転載