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日本先端医療ニュース

〈泌尿器疾患治療の専門病院〉初期から導入したPVP治療のレベルが高い

2016-04-22 17:54

医療法人社団長尽会 長久保病院理事長 院長
桑原勝孝 先生

最新の医療と確かな実績で患者は全国から

東京国立市にある長久保病院は、地域に根ざしたアットホームな民間病院であるが、最新の治療法PVP(前立腺蒸散術)やロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術を早くから取り入れた最先端の泌尿器科専門病院である。その治療実績は高く、泌尿器科領域では最も権威のあるアメリカ泌尿器学会で発表している。
PVP治療は入院期間も短く出血が少ないので、重度の心臓病など重症合併症例においても安全に施行可能である。ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術では、3Dの視野下で局所を拡大し細かくみながら人の手の数倍の細かさで手術ができる。従来の手術に比べ安全性が高く、術後の社会復帰も早い。
高齢化社会で前立腺疾患が増えている今、同院の治療法は朗報である。

アットホームな環境で最先端治療を提供

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●何でも言える「かかりつけ医」

―― 貴院の特長、理念と力を入れている治療法などについてお話しいただけますか。

桑原 当院は小規模な民間病院ですが、その最大の特長は、先代理事長の長久保(一朗)先生のモットーでありました「かかりつけ医」でありながら最新医療のできる病院であるということです。
大病院になるとどうしても敷居が高くなってしまったり、患者は医師にどうしても言いたいことが言えなくなったりしますよね。でも、患者にとって「かかりつけ医」は何でも言える身近な存在です。その「かかりつけ医」であっても、大病院と同じ設備をもち専門医がいるということで、最新医療までできる。つまり、その患者を一貫して全部トータルで診ようというモットーのもとに長久保病院はつくられました。私もその意志を継いでおります。
当院は、長久保先生がTURP(経尿道的前立腺切除術)という手術の名医として知られていましたので、開設当初から前立線疾患の患者が多かったのです。
そして、常に新しいものを、患者にとって侵襲が少なく、優しくて、いいものを取り入れていこうという理念のもとに、当院では早い時期からPVP(Photoselective Vaporization of the Prostate;経尿道的レーザー蒸散術)という前立腺肥大症の手術法を取り入れました。日本では2番目です。現在では、日本で一番多い手術件数を誇っています。
PVP手術法は、レーザーを血液中のヘモグロビンに反応させ熱することで組織を蒸発させてしまいます。PVP治療は入院期間も短期間で、今までTURP手術で問題点だった出血が非常に少なくて、かつ、手術成績が同等であるという、非常に患者にとって優しい手術になっています。出血が少ないので、高齢者や重度の心臓病など合併症のある患者にも安全に手術可能です。

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●ダヴィンチを導入した民間病院

桑原 また、前立腺がんの最先端手術――ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術も取り入れました。前立腺疾患では肥大症も増えていますが、非常にがんが増えています。がんは従来開腹手術なのですが、前立腺はもともと見にくいところに位置する臓器であり、手術にともなって出血量も多く、患者の身体への負担も大きい。
ですから、リスクをできるだけ回避できて、安全性の高い手術を目指すということで、アメリカで広がりつつあった手術用ロボット(ダヴィンチ)を入れました。これも日本で2施設目です。大きな病院に先駆けてこんな小さな病院で入れたのですけれども、良いものであればどんどん先進的に入れておこうというスタンスを取っております。
前立腺がんはもうお腹を開ける時代ではなくなっています。アメリカでは、前立腺がんの手術は90%ロボット、欧米・中国でもそうかと思います。
ロボット手術ではお腹に穴を開けて4本のアームの先にカメラ、鉗子をつけて手術します。以前の腹腔鏡手術では、2次元のモニター下で手の代わりとなる鉗子の可動範囲が限られ難しかった。長い箸で豆を持つのが難しいようなものです。
ロボットでの手術は、人が遠隔操作で体の中に入ったロボットの手を操作しますから、絶対に手ブレなんか出ませんし、3Dの視野下で拡大してみるので細かいこともすごく上手くできます。ですから出血、それから男性機能障害や失禁の問題なども軽減でき、非常にいろんな面で人の手以上に優れています。
男性機能に伴う神経は前立線のすぐ横を通っている。通常のがんの手術ですと、できるだけ広く取ってあげた方が患者も安心ですので、その神経は取ってしまいます。ただしやはり男性機能を温存したいという方が増えています。そういう方には、前立腺の被膜の中に通っているその神経をロボットは損傷させることなく残すことができます。

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●自由診療の費用や入院期間

―― ロボット支援前立腺全摘術やPVP前立腺レーザー蒸散術の費用や入院期間について教えてください。

桑原 ロボット支援手術をもし自費で日本でやろうとすると100万円、PVP前立腺レーザー蒸散術は保険点数(手術点数)でいうと約20万円です。これに入院費用がかかります。
通常このロボット手術は、当院では入院期間は10日間です。PVPの場合は4日間です。おしっこの管を当院は術後1日目に抜くんですね。ただしこれは保険診療上の入院の場合です。日帰りが可能な場合もあります。

―― 中国や外国からの患者の受け入れ状況はどうなっていますか?

桑原 PVPというのは多分中国でも結構広まっていると思います。日本でも最近すごく増えてきていますが、現時点で全国で40~60施設くらいしかないんです。当院は初期からやっていますので技術レベルも自信をもっていますし、非常に症例数も多い。
おそらく中国もそうかと思いますが高齢化社会が進んでいくと、心臓病や脳血管障害などの合併症を持つ患者がどんどん増えていく。他の手術ができない患者にとってもPVPは適応になり、朗報だと思います。
受け入れに関しては、すでにPVPに関しては海外からいらしています。今まで、アメリカ、インド、オーストラリアの方などですね。すべて自由診療です。
当院は最先端の治療を行っていますが、こじんまりした病院ですから非常にアットホームです。いい意味でシステマティックではない病院です。スタッフ同士もコミュニケーションがよく、いろんな対応がすばやくできて、患者にとってもいい意味でくつろいでいただける病院だと思います。私も患者さんと一緒に治療に取り組んでいくという姿勢をいつも持っていたいと思っています。

『人民日報海外版日本月刊』より転載