低侵襲の内視鏡手術を中心とするメディカルトピア草加病院。精度を高めた医師たちの診療を、熟練したスタッフとともに高性能CTスキャンやMRI、最新鋭の内視鏡検査機器などがサポートしている。結集した執刀医の内視鏡手術経験数は合計5,000例を超えている。再新鋭の内視鏡手術精設備が搭載された手術室は機能性と安全を徹底的に追求している。内視鏡外科手術は術後の痛みが少なく、ほとんど傷跡も残らない。腹腔内視鏡手術のメリットは外側の体壁組織を破壊しないこと、腸を眠らせないこと、そして免疫力の低下が起こりにくいことだ。
2012年2月にメディカルトピア草加病院は生まれ変わりました。「態度・進取・仲間」というプリンシプルにのっとり、自己成長を伴いながら、病院として大切な「癒される雰囲気」を醸し出してくれたのです。精度を高めた医師たちの診療を、熟練したスタッフとともに高性能CTスキャンやMRI、最新鋭の内視鏡検査機器などがサポートしています。新しく加わった低侵襲手術センターでは付加価値の高い内視鏡手術を実践しています。
結集した執刀医の内視鏡手術経験数は合計5,000例を超えます。この技術を求めて北海道や沖縄からだけでなく、国境を越えてアメリカ、シンガポール、中国の患者さんもいらっしゃいました。このような質の高い医療を実践するだけでなく、わたしたちは健康ふれあいディや健康講座、近隣清掃等を通じて、地域のみなさまとの交流も大切に育みたいと考えています。地域からも全国からも、そして海外からも愛される病院となるために、わたしたちは信頼できる仲間たちと手を取り合って、理想医療への道を歩んで参りたいと思っています。
再新鋭の内視鏡手術精設備が搭載された手術室
最先端機能が搭載された内視鏡外科手術システムが装備されている内視鏡外科手術室4室が稼働。高度で細かい技術が要求される腹腔鏡などの鏡視下手術のために、全4室すべてにフルハイビジョンの高解像度の映像システムが常設されており、手術の機能性と安全を徹底的に追求いたしました。また、手術室の内装にもこだわり、温かみのある壁紙で手術を受けられる方の不安を和らげるやさしい空間設計にも配慮しております。
からだにやさしい内視鏡手術について
内視鏡手術ではおなかに5ミリから2センチ程度の小さな穴を開け、そこから内視鏡と細い手術器具をおなかの中に入れて手術を行います。おなかの中には二酸化炭素ガスを注入し、ふくらませることにより手術に必要なスペースを確保します。内視鏡は胃カメラのような器具ですが、この手術専用のものは腹腔鏡(ふくくうきょう)と呼ばれています。腹腔鏡にはCCDと呼ばれるカメラを取り付け、おなかの中の様子をモニターに映し出します。外科医はこのモニター上の二次元の世界で手術を進めます。内視鏡手術では平面的な映像を見ながら手術をするため、日常ものを立体的に見て暮らしている私たちにとって、難しい作業を強いられることになります。このため手術器具の円滑な操作は容易ではなく、特に糸を結ぶといった複雑な手技は熟練を要します。しかし一方で内視鏡により拡大された精細な視野のもとで正確な手術が行えることはメリットと言えます。
内視鏡手術では従来の手術に比べ、極端に小さなきずで手術を行うため、術後の痛みが軽くなります。もちろん見た目にもきずが小さいので、美容的な効果もあります。しかし本当はもっと重要なメリットがあります。それは胃腸が眠らないということです。閉鎖された空間で手術を行うことにより、胃や腸などの内臓が空気に触れることがありませんから、術後の胃腸の働きは、迅速に回復します。手術直後から腸の動きの回復が見られる場合もあるほどです。このため内視鏡手術の術後は食事の摂取がスムーズなことが多く、栄養状態の回復が抜群に良いのです。これが内視鏡手術が身体の負担を減らしている主な要因です。身体の負担が少ないことを私たちは低侵襲(ていしんしゅう)と呼んでいます。このほか、内視鏡手術では、術後の癒着が少なく、腸閉そくの発生率が低いというメリットもあります。免疫力の低下が防げるというデータも報告されています。
メディカルトピアで行われている内視鏡手術の一覧をご覧ください。わたしたちが行っている内視鏡手術はおなかの中の消化器のほとんどをカバーしています。おなかの底に位置するそけいヘルニアに対しても、内視鏡手術を行います。特筆すべきは、内視鏡手術の最先端と言われている、単孔式内視鏡手術(ルビ:たんこうしき)にもいち早く着手し、豊富な経験を積み上げてきたことです。また、経肛門的内視鏡下マイクロサージェリーや胃内手術といった、ほかの病院ではほとんど行われていない内視鏡手術も、世界トップレベルの症例数で行っています。
新しい内視鏡治療法:内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
内視鏡的粘膜下層剥離術(以下ESD: Endoscopic submucosal dissection)。この手技は消化管のがんを治療するなかで最も体に負担のかからない治療となります。従来、スネアといわれる輪になった針金で通電して病変を切り取る治療法がありますが、スネアより大きな腫瘍に対してはひとかたまりにすべてを切除することができないため、何個かに分割して切除していました。そのため治療した部位から再発することも多く、さらに切除した検体が分割されるため顕微鏡での腫瘍の病理診断が困難になる場合がありました。ESDの治療手技は図2を参考にしてもらえればと思いますが、電気のメス(図3)で直接,胃の内側を切って剥ぎ取る方法です。この方法では,自由に胃を切れるため,大きさに制限はありません。この治療の特筆すべき点は、比較的大きな病変も一括して切除することができるため、局所の再発率を下げることができるようになったことと、一括して切除することにより顕微鏡による正確な病理診断を行うことができ、がんの悪性度を正確に調べることができるということです。
つまり治療と正確な病理診断を兼ねた非常に優れた内視鏡治療法になります。しかしその治療を行うには正確な内視鏡診断が不可欠であり、粘膜下層という薄い層を電気のメスで剥離していくため高度な内視鏡治療技術が要求されます。
主な合併症としては、治療に伴う出血、穿孔があげられますが、治療をしながら適宜処置を行います。
①通常光での観察です。
②色素を撒くことにより、病変の範囲が分かりやすくなりました。
③切除する範囲をきめ、目印をつけます。
④電気メスで粘膜を切開、剥離していきます。
⑤切除を完遂した写真です。人工的な胃潰瘍ができています。この潰瘍が治癒するのに約1か月ほどかかります。
⑥切除した検体は病理検査を行い、詳細な悪性度を検索します。この症例は内視鏡治療でがんの根治ができました。
がんは見つかりさえすれば、あとの治療、切除の方針は自ずと決まってきます。
しかし見逃されれば、そのまま次回の検査までがんが成長し、より侵襲の大きい体に負担のかかる治療法が必要になってきます(内視鏡治療→腹腔鏡手術→開腹手術→抗がん剤治療)。がんの内視鏡治療が注目されがちですが、もっと大事なことは、このような小さな微小癌の早期発見に努める、日々の内視鏡診療にあると考えます。
この症例も、内視鏡治療でがんの根治ができました。
以前の内視鏡治療後の遺残再発病変です。前回の治療による瘢痕が散在していたために難しい症例でしたが、合併症なく終了することができました。
結集した執刀医の内視鏡手術経験数は合計5,000例を超えます。
平成26年度 外科手術件数