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マスコミ報道

目覚めると新しい歯に変わっている ——下尾嘉昭 マロ・クリニック東京院長に聞く

2015-11-04 15:25

文/蒋豊

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歯は一生ものである。白く整った歯は健康的でクオリティの高い生活の象徴だ。しかし、事故や老化、歯に対する健康意識の欠如などで、多くの人は50歳を超えると歯を失いはじめる。すると、食事がしにくくなり、味覚にも影響が出たり、顔にも物理的な変化が生じて老けて見えるようになる。インプラントが最良の解決法だと言われているが、全治療過程は1年以上かかり、また成功率にも個人差がある。多くの人が、一度寝て、目覚めたら白く整った歯になっていたらどんなにいいだろう、と夢見たことがあると思う。この夢を実現させた歯科医師がいる。マロ・クリニックの創始者であるマロ博士が発明したインプラント技術、オールオン4(All-on-4™)は、インプラント治療において、仮歯が入るまでの期間を従来の半年から1日に短縮した。東京・銀座にあるマロ・クリニックはマロ博士の31あるクリニックグループの一つで、下尾嘉昭院長はマロ博士の弟子として、オールオン4をアジア人に合わせて改良した。そして、目覚めると新しい歯が揃っている、という夢を実現してくれた。先日、銀座のマロ・クリニック東京を訪ね、下尾院長にお話をうかがった。(聞き手は人民日報海外版日本月刊編集長 蒋豊)

半年かかる治療を1日で

―― 歯をなくした人にとって、インプラントは最良の解決法と言われています。しかし、あごの骨がないとか加齢による理由で、インプラントができない、またはインプラントの前に骨を移植する必要があると診断される人も多いようです。インプラントと口腔修復で世界をリードするマロ・クリニックでは、新技術であるオールオン4を開発し、短時間で患者に美しく新しい歯を復元させています。あごの骨がない人でもできるとのことですが、どのように治療するのですか。

下尾 がんや外傷、交通事故、高齢などの理由ですべての歯あるいは部分的に歯をなくした方は、インプラント手術の前に骨の移植手術をしなければならない事があります。

骨移植は、小範囲であれば患者さん自身の口の中の骨を使います。しかし、広範囲になれば、肋骨、腰骨や肩甲骨から移植するのですが、それらの部位を傷つける必要があり、さらに何度も行うと患者さんの身体への負担も大きくなり、治療期間も2年近くかかります。

ポルトガルのマロ博士が開発したオールオン4技術は、1回の手術で4本のインプラント体を支えとした12本の歯を入れることができます。またすぐに歯を復元でき、骨移植も必要ありません。この技術は、すべての歯を入れ替えなければならない重症患者にも適用でき、手術当日に仮歯を入れられます。また低侵襲手術ですので、手術後の腫れも最小に抑えられます。現在、このような手術はオールオン4だけです。

仮歯を入れて数カ月後に問題がなければ、本当の歯に入れ替える処置をします。入れ替え処置は通常8回に分けておこないます。遠方からいらっしゃる患者さんには回数を短縮し、集中的に治療することも可能です。入れ替えた歯は本物の歯にそっくりなだけでなく、快適に使用することができます。

当院はマロ・クリニックの日本分院で、マロ博士直伝の技術をもとにアジア人に合った治療法に改良しています。アジア人と欧米人の骨格、骨質は違いますので、たくさんの患者さんの治療を通して技術改良に成功しました。病状が複雑だったり、骨が多く失われていて、他の医院で手術を断られた患者さんも当院では受け入れ、治療に成功しています。

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今までで最高の歯科治療

―― 東京のマロ・クリニックでは世界最高のインプラント技術と最先端の手術室を備え、多くの患者を引きつけています。しかし、歯科治療を受ける患者の中には、子どもの頃の記憶から歯科と歯科医師に対する恐怖心を抱いている方がいたり、女性の場合には、治療のためとはいえ明るい照明の下で大きな口を開けることに抵抗があります。先生はそうした患者の心理にどのように向き合っていますか。

下尾 そうですね。確かに患者さんの中には幼い頃に痛い思いをした記憶が残っていて、大人になってから歯が痛くても歯医者に行けない方もいます。その結果、多くの歯がだめになってしまい、食事が不自由になってからようやく歯科を受診するのですが、時間がたちすぎて歯も歯茎もひどい状態になっている。こうなると一般の歯科医では対処できません。そういう意味で、当院は重症の患者さんが最後に駆け込む“救急センター”とも言えますね。

当院では、患者さんのプライバシーを守るため、また患者さんの不安を取り除くため、処置室はすべて個室になっています。処置室に入るとすぐに顔面蒼白になって冷や汗が止まらないという患者さんもいますし、処置台に乗れないという患者さんもいます。

そうした患者さんの緊張をほぐすため、またプレッシャーを与えないため、手術前には写真を撮るなどの検査以外、患者さんの歯には一切触れません。手術当日も患者さんに全身麻酔をして、睡眠状態に入ってから手術をします。

そして、患者さんが麻酔から覚めてから、仮合わせをし、当日中にきれいな歯が入ります。その結果、患者さんは歯科治療のいやな記憶を忘れてしまうこともあります。ある患者さんの話では、今後もう歯を削る必要もなく、削るときの振動も伝わることがないので、その後の型取りや最終的に歯を作るまでの過程がまったく恐怖心なく処置してもらえます、とのことでした。人間の脳とは本当に不思議なものです。

当院の方針は、患者さんにもっとも安全でリラックスした、スピーディーで効果の高い歯科治療を提供することです。もちろん、器具の消毒も徹底しています。クリニックは銀座にありますから、女性の患者さんは治療後にショッピングしたいと思われるでしょう。パウダールームには資生堂の最高級ブランドであるクレ・ド・ポー ボーテの基礎化粧品をご用意しています。女性患者がお化粧の心配をせず、治療後にはきれいになって帰っていただけるようにしています。

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中国人観光客は治療後に買い物も

―― 中国人の健康に対する意識は年々高まっています。貴院のスピーディーで、効果の高いインプラント治療は、買い物や観光と合わせて歯科治療をしたいという中国人観光客に向いているように思います。先生は中国人患者を診察されたことがありますか。短期滞在の観光客でもインプラント手術はできるのでしょうか。

下尾 当院の患者さんには東京在住の中国人の方もいます。日本語が堪能ですから、コミュニケーションには困りません。まだ中国国内の患者さんはいらっしゃていませんが、もし日本滞在中に診察にいらっしゃれば、初日に診察・血液検査をし、10日後に手術をして非常に自然な仮歯を装着します。すぐに噛めますし、柔らかいものから徐々に食べることもできます。仮歯は数カ月後に最終的な歯に入れ替えるので、手術後も何回か来院していただかなければなりません。外来での治療の日は午前中に処置して、午後は買い物や観光に行くこともできます。また、手術をして仮歯を入れ、その後は北京、上海のマロ・クリニックで治療を継続することもできます。

ここ数年、マロ教授は北京、上海などの大都市にクリニックを開いています。しかし、現在中国にはまだ難易度の高いオールオン4の技術を持つ歯科医師がいませんので、提携の病院が紹介してくる特定の予約患者しか受け付けていないようですし、インプラント手術が必要な場合にはマロ博士が中国に赴くようです。

歯は大脳にも影響する

―― 歯の良し悪しは健康面だけでなく、容貌にも影響を与えるようです。先生は歯の悪い人が実際の年齢より老けて見えることをどう説明されますか。

下尾 実際、歯というのは一本一本独立した存在ではなく、歯がなくなったまま放置しておけば、そのほかの健康な歯も位置がずれてしまい、咀嚼しても歯のある骨格に刺激が届かなくなり、あごの骨も弱くなって顔つきも変わってきてしまいます。

入れ歯の場合、歯茎の上にあるのであごとは連動していませんから、頬の筋肉が萎縮してしまい年寄りの顔になってしまいます。当院のインプラントは自然な骨格が維持でき、咀嚼や発音の困難もなくなると同時に、美容上の効果も得られ、人との付き合いにためらいもなくなるでしょう。

歯は頭部の骨格と連動しているだけではなく、実は脳とも連動していますので、脳の活性化にも関係しています。以前、当院にご高齢の患者さんがいらっしゃいました。はじめて来院したときには軽度の認知症のような症状で、私と会話ができなかったし、家族に抱えられてやっと歩いていましたが、インプラント手術後には、ふつうに食事ができるようになり、だんだん頭の働きもはっきりしてきました。今では一人で来院して一人でお会計もして、次の診察の予約もしていますし、介助もつえもなく歩いていらっしゃいます。

歯と脳の関連性について有名な実験があります。マウスを小さい浅いプールに入れて泳がせます。真ん中には島があり、マウスがその島にたどりつく時間を測ります。何度もやるうちにマウスが島の場所を覚えてたどり着く時間はだんだん短くなります。しかし、歯を抜いたマウスをプールに入れると、方向感覚がなくなり、島にたどり着くのにとても長い時間がかかります。ところが、歯を入れてプールに戻すと、また道を認識する能力が回復するのです。

もちろん、患者さんの気持ちの問題もあるでしょう。美しく自然な歯であれば、よく笑うようになり、社交性も出てきて、積極的かつ前向きな気持ちで生活できるようになりますね。

 

取材後記

インタビュー終了後、恒例の揮毫をお願いすると、下尾先生は「すべては患者のために」と英語でしたためられた。将来、ある日目覚めたら新しい、美しい歯に変わっていたら……と、下尾先生と強く握手を交わしながら心の中でひそかにつぶやいた。「先生、(その時には)よろしくお願いします」。

情報元:人民日報海外版日本月刊