HOME 日本先端医療ニュース 〈日本でも指折りの脳外科〉24時間365日の受け入れ体制

日本先端医療ニュース

〈日本でも指折りの脳外科〉24時間365日の受け入れ体制

2016-04-21 16:25

社会医療法人社団 森山医会
森山記念病院 院長
大久保靖 先生

東京江戸川区にある森山記念病院は、日本でも有数の脳神経外科がある病院である。また、地域の救急医療病院として、外科系(脳神経外科、外科、整形外科)および内科系(消化器科、循環器科)の急性期医療に貢献している。救急車による搬送は年間約3800件を受け入れ、特に、脳卒中診療については、365日24時間体制で緊急のCTやMRIはもちろんのこと、脳血管撮影検査や緊急の開頭手術も可能で、さまざまな病状に迅速に対応している。
また、4.5時間以内の脳梗塞での超急性期血栓溶解療法や、消化器外科の低侵襲腹腔手術、小腸カプセル内視鏡検査などの最新治療を積極的に行っている。
さらには急性期対応の森山記念病院に加え、回復期~慢性期病態には森山リハビリテーション病院を併設し、効率的な医療分業と高度な治療を展開している。
大久保院長は消化器疾患を中心として外科一般を、最新治療法を取り入れながら幅広く対応できる経験豊富な外科医である。

お腹を切らない低侵襲手術なら回復も早い

asdasd

●東南アジアからも患者が訪れる病院

―― 貴院の特長について教えていただけますか?

大久保 脳外科と救急医療を2本の柱にしています。まず、脳外科に関しては有名で日本でも指折りの病院です。本院の半数ぐらいの患者が脳外科関係です。また、実際に脳外科に関しては症例数も多いだけでなく、遠く東南アジアからも本院を頼っていらしています。
もう1つが救急病院として地域の皆さまに貢献することです。救急医療では外科系(脳外科、外科、整形外科)と、それらの周りを内科系(消化器科、循環器科)が取り囲んで診療にあたっているという形です。また、急性期対応の森山記念病院に加え、回復期~慢性期病態には森山リハビリテーション病院を併設しており、効率的な医療分業と高度な治療を提供しています

急性期対応の病院として、脳神経外科では、月間約350台の救急車を受け入れています。当院では手術室と集中治療室で専門医と優れた看護師とメディカルスタッフが24時間365日の受け入れ体制をとって脳血管障害の急性期病態に対応しています。そこでは「超急性期血栓溶解療法」という最新治療を行うことができますし、くも膜下出血では64列マルチスライスCTで診断後、針を刺さずにMRI(1.5T)で脳動脈瘤を同定し、即座に手術できる体制を整えています。さまざまな症状に対応できるようにしているのです。

――脳外科以外の急性期疾患についてはどのような治療がありますか。

大久保 消化器外科では消化器疾患を中心として外科一般を広く扱っています。急性期疾患としては消化管出血や穿孔、腹膜炎を伴う虫垂炎、腸閉塞などに迅速に対応しています。
最近では消化管穿孔でも、即手術ではなく保存的治療も行っています。胆石症・総胆管結石症などに対しては内視鏡的治療や低侵襲の腹腔鏡下手術を取り入れています。急性虫垂炎に対しても、保存的治療のみならず、腹腔鏡による手術を行っています。これらは「傷の小さな低侵襲の手術」というものですね。
がんなどの悪性疾患の患者に対しては、診断から外科治療・化学療法・緩和ケア・終末期治療までをひとつの流れとしてトータルに対応しています。早期悪性疾患に対しては内視鏡的治療も積極的に行い、手術については先ほどご紹介しました低侵襲である腹腔鏡手術も行っています。
一方で進行がんに対しては根治度を重視して高い水準の開腹手術と抗がん剤治療により少しでも長く幸せな生活が送れるよう努力しています。さらに外来での術後の化学療法、疼痛コントロールなども専門のスタッフが対応しています。

777

●傷の小さい低侵襲な手術

―― 脳外科や消化器外科で行っている最新治療について、少しくわしくご説明いただけますか?

大久保 脳外科の超急性期血栓溶解療法とは、脳の血管がつまって症状が出現してから4.5時間以内の患者に薬剤を点滴して、脳血管のつまりを溶かして脳梗塞になるのを防いだり脳梗塞の範囲を小さくすることを目的とする治療法です。
また、消化器外科において、ここ数年手術は開腹から腹腔鏡の時代へと変わってきました。当院では胆石症・胆嚢炎に対しては以前より腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っていましたが、他の疾患に対しても少しずつ腹腔鏡下症例を積み重ね、急性虫垂炎、大腸良性疾患、胃がんや大腸がんなどと、対象疾患を広げています。
これらの手術は、「傷の小さい低侵襲な手術」として、患者の身体への負担が少なく、術後の回復が早いこと、術後腸閉塞の少ないこと、感染の少ないこと、美容的に優れていることなどの長所があげられます。
また、小腸カプセルカメラを導入して、胃カメラや大腸カメラでは診断不可能であった小腸の診断を行えることも、最新の医療ですね。

888

●患者は中国からも訪れる

―― 先生のご専門で、ご自身の得意とされることをお教えいただけますか。

大久保 まあ、「首から下、脚の付け根まで、あらゆる外科的疾患に対応しています」ということですね。救急、それから予定手術ともに、長い経験から、広い範囲をカバーできているということだと思います。
ですから、中国の方でいうと、予約してできる、がんの手術ですね。胃のがん、大腸のがん、全部腹腔鏡下低侵襲手術というお腹を切らないでやりますので、それから胆石も腹腔鏡を使ってやりますので、傷がほとんど目立たない。患者の回復も早いです。

―― 先ほど、東南アジアから患者が来るというお話がございましたけれども、これまで中国人患者を受け入れたことはございますか?

大久保 これまで毎年数人来院しています。私が担当した最初の中国の患者は、急患で二十数年前でした。当時商用で来日されたときに急性の腸が腐る病気になり、手術して無事帰られました。
予定手術で中国から来られるのは、脳外科の患者ですね。ただ、中国の方は自由診療になってしまいます。
なお、当院では救急と同時に検診もやっています。検診の方は、主に2つに分かれています。脳ドックという頭専門の検診と、それから胃や大腸の内視鏡にお腹のCTとかそういうのを組み合わせた腹部全般の検診との2つです。脳ドックと腹部の検診と一緒にやることも可能です。

『人民日報海外版日本月刊』より転載